一人の男子が凪沙ちゃんの腕を後ろからつかみ、もうひとりはブラウスに手をかけようとする。凪沙ちゃんは男子の手を振りほどこうともがいたけど、男子の力にはかなわず、抵抗できなくされてしまう。
「おい、暴れるなよ。お前のエロ動画、どうなってもいいのか?」
「……っ」
凪沙ちゃんの抵抗が弱まる。そして、凪沙ちゃんらしくない消え入りそうな声でぽつりと言った。
「……っ、分かったから、今日はやめて……。その……あれの日だから……」
わたしには、凪沙ちゃんがどんな気持ちがすごくわかった。男子に女の子の日のことを知られるのは、とっても恥ずかしい。嫌いな男子に自分から言わされるなんて、信じられないくらい悔しいに違いない。
でも、男子は、凪沙ちゃんのそんな気持ちを知ってか知らずか、ひどいことを言う。
「チッ、つまんねえな。証拠見せてみろよ」
「……っ」
証拠って……ナプキンつけてるのを見せろってこと……? そんな恥ずかしいこと、できるはずない。わたしは男子への怒りが湧いてくるのを感じる。凪沙ちゃんにそんなひどいことをさせるなんて……!
わたしが凪沙ちゃんの身代わりになれれば、凪沙ちゃんは恥ずかしい思いをしなくて済む。わたしは外に出ようとしたけど、その瞬間からだの力が抜けてしまう。
すごく怖い……。むかし男の人に犯されたときの記憶がよみがえって、足がすくむ。それに、ずっと裸でここに隠れてたことも知られてしまう。もしそれで凪沙ちゃんに嫌われちゃったら……?
わたしが恐怖と戦っているあいだに、凪沙ちゃんは悔しそうにうつむいて、短いスカートに手をかけていた。そして、すそを持ち上げて、男子の方に見せる。男子は下心のこもった目で凪沙ちゃんのショーツを観察していた。
「へへ……生理中のくせになかなかエロい下着だなあ」
凪沙ちゃんは、女の子の日はおりものがついたら嫌だから、って黒い下着をつけていることが多いし、今日も黒だった。黒は大人な感じがして、わたしには到底履けそうにない。さっき、男子に見られたとき、わたしの下着は小学生みたいだってバカにされたけど、男子はそういう大人なやつの方が喜ぶのかな……。
男子の遠慮のない視線に、凪沙ちゃんは恥ずかしさに耐えかねるように言った。
「も、もういいでしょ……?」
「いい訳ないだろ。ちゃんと脱いで見せろよ」
わたしはその言葉に絶句してしまう。下着と肌の隙間からナプキンの羽はもう見えてるのに、脱いで見せろだなんて……。あそこも見えちゃうかもしれないし、何よりおりもので汚れたナプキンが見られてしまう。
「……、それだけは許して……」
凪沙ちゃんは泣き出しそうな表情で男子にそう言った。しかし、男子はわざとらしく言う。
「別にやらなくてもいいけどなあ。そういえば、この動画に葉月ちゃん?だっけ? 貧乳の一年の奴も映ってたよなあ。もしネットにクラスの女子のエロ動画が転がってたら、一年の男子は大喜びだろうな」
「……っ、そ、そんな……」
凪沙ちゃんの眉根が下がる。後輩の女の子まで盾に取って、男子は凪沙ちゃんを逃げられなくしてるんだ……。凪沙ちゃんは後輩思いだから、きっと言いなりになってしまう……。
「……っ!」
凪沙ちゃんはしばらくためらったあと、めくりあげていたスカートから手を離した。耳まで真っ赤にして、目をぎゅっとつぶり、ショーツを太もものところまで下げる。そして、片方の手であそこを隠しながら、もう片方の手でスカートをまくり上げた。
凪沙ちゃんは体を縮こまらせて羞恥に震えながら、男子たちのいやらしい視線を浴びていた。彼女の瞳からぽろりと涙がこぼれる。凪沙ちゃんがしゃくりあげると、男子たちは嬉しそうな顔をする。
「おいおい、さっきまであんなに反抗的だったのに、随分しおらしくなったなあ。生理ナプキン見られるのがそんなに恥ずかしいか?」
「……っ」
凪沙ちゃんは男子の言葉には答えずにすすり泣く。男子たちは凪沙ちゃんの恥ずかしがる姿を楽しげに眺めていたが、アイコンタクトでなにか合図をしたかと思うと、素早く凪沙ちゃんに襲いかかった。
「きゃっ……!」
後ろの男子が凪沙ちゃんを羽交い締めにする。そして前の男子は、凪沙ちゃんの足をまとめて持ち上げ、ショーツをずり下ろして奪った。
凪沙ちゃんは奪い返そうとしたけど、後ろの男子に阻まれてしまう。男子は凪沙ちゃんの黒いショーツと白いナプキンをしげしげと眺めた。
「意外と汚れてないなあ。取り替えたばっかりか?」
男子は凪沙ちゃんに見せびらかすように、ナプキンのあそこが触れるところを広げた。まだそんなに血はついていなかったけど、でも少しだけしみになっている。凪沙ちゃんは目を背けた。あんなふうに見られたら、恥ずかしくてたまらないに決まってる……。
男子はショーツを広げたまま、それを自分の顔の近くに持っていった。そして鼻を鳴らして匂いを嗅いだ。凪沙ちゃんは目を見開いて、嫌々をするように首を振る。
「や、やだ、嗅がないで……っ!」
「うお、すごい臭いだな。生理中のまんこってこんな臭いのかよ」
「俺にも嗅がせろよ」
「や、やめてぇ……」
後ろの男子も凪沙ちゃんのショーツを嗅ぎ、「臭え」と言って大笑いする。凪沙ちゃんは涙をこぼしながら、弱々しく何度もやめて、とつぶやく。
「おねがい、返して……。スカートについちゃうから……」
「へえ。じゃあこうすればいいだろ?」
男子は凪沙ちゃんのスカートをめくり、ウエストに挟み込んだ。男子たちの視線が、凪沙ちゃんの秘所に集中する。男子たちの容赦ない辱めに、凪沙ちゃんはしゃくり上げながら許しをこっていた。
「もうやだ……許してぇ……っ」
いつも凛とした親友の見たことのない姿に、わたしはどきどきしてしまって──わたしはかぶりを振った。どきどきなんかしていいはずない。凪沙ちゃんは男子にいじめられてて、本当に恥ずかしがってるのに。それなのに、わたしは助けにも行けないで、隠れて見てるなんて、最低だ……。
(……っ!?)
たらりと太ももを伝って何かが垂れる感じがする。わたしがびっくりして指ですくうと、さっき触った覚えのある粘り気のある液体だった。おそるおそる、自分のあそこを指で撫でると、液体がこぼれてきているのが分かる。凪沙ちゃんがあんなにひどいをされてるのを見て、わたしは……。
罪悪感でいっぱいになりながら、わたしは指を動かしてしまう。大好きな親友でそんなことをするなんて、絶対だめなのに……。
男子は奴隷を調教するときみたいに、凪沙ちゃんの頬を片手で掴んで正面を向かせ、命令する。
「まんこ使えないんならそれ以外のとこでやれよ。そしたらパンツ返してやるから」
「……、はい……」
凪沙ちゃんは男子への服従を受け入れるように、目を伏せて返事をする。後ろの男子が羽交い締めを解くと、凪沙ちゃんはその場にへたり込んだ。