ガサゴソという音が聞こえ、男がまた新たな道具を手に取る気配がした。
(……っ、また変な道具で……)
目隠しで視界を奪われているミナハには、男が手に持っているのがどんなものなのか、少しも分からなかった。手で直接からだをいじられるなら、どんな責め方をされるか少しは予想できる。けれど、得体の知れない機械で与えられる刺激は、想像もつかなくて……しかも、からだを敏感にされている状態でそんなことをされると思うと、恐怖を感じてしまう。
男は彼女のからだをいたぶるのを楽しみにするような表情を浮かべながら、手にした道具を彼女の胸の先端を覆うように取り付けた。熱くなった肌に冷たいプラスチックのような無機質な感触を感じて、ミナハは嫌でもそこに意識を向けてしまう。男がその道具に取り付けられているポンプのような部分を押し込むと、吸盤のようにその機械は貼りつく。彼女の美しい二つのふくらみは、その道具のせいでいびつな形になっていた。
「へへへ……これが何だか分かるか?」
男は彼女の胸の先端の機械をコツコツ指で突いてそう言った。目隠しをされたミナハには、胸の先端に吸着するような道具の感触がわかるだけだった。たった数回自慰行為をしたことがあるだけで、性知識のほとんどない彼女が、その機械のことを知っているはずがない。でも、きっとまた胸の先っぽをもてあそばれる──ミナハはそう考えながら、何も答えずに押し黙った。
男はそんな彼女にほくそ笑みながら、手元のコントローラのスイッチを押した。
「……っ、あ……っ!」
その瞬間、取り付けられた機械が唸りはじめた。胸の先端を刺激され、ミナハは鋭い声を漏らしてしまう。
(……っ、何、これ……っ!)
今までに経験したことのないような感触に、ミナハのからだは拘束されたままびくびくと反応する。機械の内側に取り付けられたブラシのようなものが回転して──ローションで濡らされた敏感な先っぽを撫でまわす。胸の先端に機械が吸いついているせいで、どの角度からもブラシの刺激がきて……まるで、何本ものざらざらした舌で舐められているかのような感触だった。
「んんん……っ、んぁ……っ! く……っ、ふぁ……っ!」
男たちに指で触られるのとも、マッサージ機を当てられるのとも違う、先っぽだけを徹底的に責められるような刺激……。その場所を念入りに敏感にさせられたミナハに、その刺激はてきめんだった。男はミナハの反応を見て高笑いしながら、さらに彼女を責め立てる。
「へへ、胸だけで感じすぎだろ。ほら、もっと強くしてやるよ」
「……っ、んああっ! んんん……っ、あぁぁ……っ!」
男が機械の出力を上げると、ブラシの回転が速さを増す。ミナハはもう声を抑えようともできずに、からだを悶えさせながら嬌声を上げてしまう。しかし、拘束具は相変わらず彼女のからだの動きを封じたままで──胸の先端の機械が彼女のその場所から離れることもなかった。
「おいおい、乳首だけでずいぶんエロい反応だな。もう撮られてること忘れたのか?」
男にそう言われて、ミナハは歯を食いしばる。今撮影されている動画は、葉月が痴漢されて撮られたものと同じように、きっと悪趣味な男たちが見て愉しむのだろう。自分のからだや、からだをいじられてしてしまっている反応が、最低な男たちの慰み者になるなんて……男嫌いのミナハには絶対に許せなかった。
それなのに、胸の先端をいじめる機械の刺激に、からだは勝手に反応してしまう。機械は彼女の敏感な先端に吸いついたまま、無数の小さな触手のように這いまわってくる。男に触られたことも、自分で触ったことすらほとんどなかったその未成熟な蕾は、その責めに蕩けきってしまって──からだ中を駆け巡るような快感を感じる。ローションで敏感にされ、さらに焦らされたからだは、そんな感覚には抗えず、彼女はからだの中で快感の糸が張りつめてくるのを感じる。
(……っ、胸をいじられてるだけなのに……っ)
しかし、一度意識してしまったその感覚は、もう忘れることなんかできなかった。男にからだに何かされたせいもあってか、胸への刺激だけで、ミナハのからだはどんどん熱くなっていく。秘所がひくひくと痙攣して……ミナハが何かを我慢するように脚をもじつかせはじめると、男にもそのことがバレてしまう。
「へへへ……まさか胸だけでイきそうになってるのか?」
「……っ!」
男のその言葉に、ミナハの心臓がどきっと跳ねる。痴漢男にイかされるだけでも信じられなかったのに、今度は胸をいじられるだけでそうさせられてしまったりしたら──。そんな屈辱的なこと、絶対あり得ないのに、ミナハがからだに感じている感覚は間違いなく絶頂の予兆だった。
「図星か? じゃあお前の情けないマンコ、ちゃんと撮っといてやるよ」
そう言って、男がミナハの秘所の前にかがみこむ気配がする。目隠しのせいで見えないけど、きっと秘所を撮影されてる──そう考えてしまって、羞恥で余計にからだが熱くなる。それに、もし胸だけで絶頂したりしてしまったら、そのときの秘所の反応まで撮影されて……そう思うと、さらに恥ずかしくなってしまう。
「あああ……っ、いやぁ……っ! んんん……っ!」
けれど、いくら抑えようとしても、胸の先端への絶え間ない刺激はミナハを追い詰めてくる。いくら男に卑怯なことをされたとはいえ、こんなことで快感を感じて、絶頂させられてしまうなんて……。ミナハは顔を真っ赤にしながら、かぶりを振って必死に耐えようとした。
しかし、男に細工をされ、筆責めでたかぶらされた彼女のからだは、絶頂を求めてしまってどうしようもなかった。彼女の秘所は、限界を訴えるように小刻みに痙攣しはじめる。男はその様子を撮影しながら、ニヤニヤ笑っていった。
「へへ、もうイきそうだな。ほら、イけ」
男はミナハの陰核に、ふーっと息を吹きかけた。背筋にぞくりとした感覚が走って──そんなわずかな刺激だけで、ミナハは絶頂に達してしまう。
「……っ、いや……っ! んんんんんん──っ!」
ミナハのからだが快感に踊らされるように、びくびくっと跳ねた。そしてすぐに、がくっと脱力する。彼女が快感に敗北した証拠のように、秘所は何度もひくつきながら、たらりと液体を垂らした。
軽い絶頂だったとはいえ、胸だけで──。ミナハがうなだれていると、男はそんな彼女に追い打ちをかけるように辱めの言葉を言った。
「へへ、痴漢を毛嫌いしてるくせに、責めてやったら胸だけでイくなんてなあ。あんなに凛々しいことを言っておきながら、マゾの変態じゃねえか」
「……っ、く……っ、んん……っ!」
悔しくてたまらないのに、ミナハの喉からはまだくぐもった声が出てしまう。絶頂させられたあとも、ミナハの胸の先端の機械は彼女の乳首に弱い刺激を与え続けていた。