(お仕置き……?)
痴漢たちのすることだから、どうせろくでもないことだろう。ミナハはそう思いながら、男たちに反抗的な目を向ける。男たちは、これから与える辱めへのミナハの反応を楽しみにするようにニヤニヤ笑っていた。
右の男がミナハの胸を揉んでいた腕を、彼女の背中に回した。そして慣れた手付きで彼女のブラのホックを外す。
「いやっ……!」
(ブラを取られる……!)
ミナハは手でブラを押さえようとしたが、男たちは彼女の腕を動かないようにしたままだった。水泳のために鍛えているから周りの女の子より力が強いミナハだったが、男一人ずつに腕を掴まれていては身動きが取れない。男たちは悠々とミナハのブラの肩紐を外し、タンクトップの裾から水色のブラをあらわにする。そして掴んだままの腕を通して彼女の下着を抜き取った。
「返して!」
ミナハが噛みつくように言ったが、男は聞く耳を持たなかった。左の男はこれみよがしに、抜き取ったブラを彼女の目の前で垂らした。そしてタグを見て言う。
「なかなかかわいいのつけてるじゃないか。へえ、Cカップか。葉月ちゃんと同じであんまり大きくないんだねえ」
ミナハはモデルのように均整の取れた体つきを、おおむね誇りに思っていたが──ほかの女性に比べてわずかに小さいその部分のことは、少しだけ気にしていた。好き勝手なことを言う男を、ミナハは睨みつける。男はそのまま、ミナハの水色のブラジャーをバスの通路に投げ捨てた。
「うそ……っ!」
一番うしろのシートだからまだ誰にも気づかれていないが、もし誰かが振り向いたら確実に気づかれてしまう場所だった。もし自分のそれを誰かに見られてしまったらと思うと、ミナハは気が気でない。彼女は立ち上がって取りに行こうとしたが、男たちがそれを許すはずもなかった。
男たちは示し合わせていたようにミナハの腕を持ち上げ、上からバスのシートの後ろに回した。ミナハはからだを揺すって抵抗したが、男たちは足で彼女の足を抑え、身動きを取れなくする。男たちはミナハの背後で何かしていたが、あっという間に彼女の両腕は固定されてしまっていた。男たちはあらかじめ手錠のようなものをシートの後ろのグリップに引っ掛けていたらしかった。
「……っ、くっ……!」
彼女は腕に力を込めて拘束を外そうとしたが、びくともしなかった。腕を上に挙げたまま縛られている格好になった彼女には、男たちの手を払い除けることも、自分の体を隠すこともできなくなってしまった。
「へへ……いい格好になったなあ」
右の男が彼女の姿を見ながら舌なめずりする。無防備な格好で縛られたミナハを、これから好き放題できる──男が仕返しのために、これまで以上の辱めを彼女にしようとしているのが、ミナハにもわかった。
(こんな奴らなんかに絶対屈しない……)
ミナハは卑怯な痴漢たちへの反抗心を強くする。男たちは待ちきれない様子で、ミナハの体に触りはじめる。二人の男たちの手が、彼女の胸に襲いかかった。
「えっちな乳首が透けちゃってるねえ」
ブラジャーを取られたミナハのタンクトップの上には、彼女の勃った先端が浮かび上がっていた。左の男に言われて、自分が恥ずかしい格好をしていることを自覚させられ、ミナハの頬が赤くなる。男はミナハのそんな反応を楽しみながら、服の上から彼女の乳首を引っ掻いた。
「あっ……!」
ミナハはぴくりと体を震わせて、男の指から逃れるように身をよじった。男はミナハを逃さず、彼女の乳首をいじめ続ける。服の上から触られるもどかしい感触に、ミナハは鼻にかかった声を漏らしていた。
「ん……っ、ぁ……っ」
右の男はさっきまでのようにミナハの胸を直接揉みながら、乳首を転がしてくる。ぴんと勃った乳首に触れられ続けるうちに、ミナハのからだには気持ち悪さとは違ったぴりぴりとした感覚が走るようになってくる。身を固くして男たちに反応を返さないようにしようと思っても、触られたところから自然に体の力が抜けてしまっていた。
「反応が良くなってきたねえ。最初は痴漢を嫌がってる子でも、触られ続けてるとだんだん気持ちよくなってきちゃうんだよねえ。ミナハちゃんもそういうタイプなのかな?」
「……っ、ちがう……、こんなの、気持ち悪いだけ」
男たちは反抗的なミナハの言葉にニヤニヤ笑う。これから彼女に羞恥と屈辱を味わわせ、屈服させるのを楽しみにするような笑みだった。手始めに、左の男がミナハの隠せないわきに顔を寄せ、鼻を鳴らす。
「ん〜、葉月ちゃんに似ていい匂いだねえ。でも葉月ちゃんは乳臭い子供の匂いだったけど、ミナハちゃんはいやらしいメスの匂いがするねえ」
あの何枚もの写真を思い出し、ミナハは怒りに震える。こんな卑劣な男に痴漢され、犯されて、その写真まで撮られてしまった葉月が、どんなに心に傷を負ったか……。そのことを考えると、ミナハは男を憎んでも憎みきれないほどだった。でも今のミナハは、その男の目の前で縛られて、男たちの性欲のままにからだをいじられても抵抗することすらできない。
(悔しい……こんな奴らに……!)
ミナハは男たちを睨みつけていたが、そんな彼女の口から思ってもみないような声が漏れる。
「ひゃうっ!」
左のわきに突然ぬるぬるとした感触が触れ、ねっとりと動きはじめる。ミナハは反射的にからだをもう一人の男の方にそらしたが、もう一人の男も彼女のわきに舌を這わせてきた。
「いやぁっ……!」
ミナハは男たちの舌からわきを守ろうと、必死に後ろに回された手錠をほどこうとする。しかし、金属でできたそれは、彼女の力ではびくともしなかった。その間も、男たちは彼女の両わきに吸い付き、なめらかな皮膚に舌をこすりつける。
(や、やだ……っ)
ミナハはノースリーブを好んで着ていたため、わきはいつ見られても恥ずかしくないように手入れを欠かしていなかった。電車でつり革につかまっているときなどには、その場所への男たちの視線をよく感じていたし、そんな場所にすら性的に興奮する男たちを見下していた。しかし──その場所を嗅がれ、舐められることなんて、想像したことすらなかった。
「……っ、そ、そんなところ、舐めるな……っ、んん……っ、ひゃっ!」
右の男が彼女のわきから何かを吸い出すように、ちゅるちゅると音を立てて唇を吸い付ける。彼女はびくんとからだを震わせて、また声を上げてしまう。ミナハが舌から逃れるように身じろぎするほど、男たちは獲物を貪るように彼女のわきの上で舌を蠢かせる。
「ん〜、ミナハちゃんのわき、しょっぱくておいしいねえ。舐めれば舐めるほどいやらしい味になってくるよ」
左の男に言われ、ミナハの顔が耳まで赤く染まる。男たちがミナハを辱めようとしていることは分かっているのに、ミナハにはその恥ずかしさを紛らわすことができず、男たちの望むような反応を返してしまう。
「くぅ……っ、ん……っ、んん……っ!」
男たちの鼻息が荒くなり、舌使いも強くなる。ミナハの目に、ズボンの下で男たちの股間のものがびくびくと動いているのが映る。男たちが彼女のわきを舐めて興奮しているということが、彼女にも分かった。
(わきを舐めて興奮するなんて、ほんとにキモい……っ!)
彼女は男たちへの嫌悪感を募らせる。同時に、自分のわきがそんなに男たちを興奮させてしまっているということに、彼女はさらに恥ずかしさを感じる。わきを味わわれる羞恥と、男たちの舌の感触の気持ち悪さ、そして舌の動きからもたらされるこそばゆさ──。ミナハは全身に鳥肌が立つような不快感を覚えながらも、湿った吐息を漏らしていた。
「はぁっ、あ……っ! あん……っ」
右の男に胸の先端をつままれ、左の男にへそをほじくられて、ミナハは男たちの思い通りにからだを震わせる。ミナハが無意識のうちに足をもじつかせはじめると、右の男はニヤリと笑みを浮かべて彼女のショートパンツのホックを外した。
「いや……っ!」
ミナハは足を閉じて男の手を阻もうとしたが、彼女の足は男たちの足に抑え込まれたままだった。右の男は悠々と彼女のショートパンツのファスナーを下げ、ショーツをあらわにする。ブラと同じ淡いブルーのそれは、クロッチの部分にわずかにしみができていた。右の男は優越感に満ちた表情で彼女を見下ろして言う。
「おいおい、何だこのシミは。まさかわき舐められて感じてるのか?」
「……っ」
男に言われ、ミナハの耳がかぁっと赤くなる。
「いつもわきもへそも丸出しの格好で電車乗ってるくせに、こんなに感じるなんてなあ。本当はいじられたくてあんな格好してたんじゃないか?」
「……っ、勝手なこと言わないで……っ」
ミナハが男に強い視線を向けながら言うと、そんな彼女のからだにそれをわからせるように、男たちは彼女の弱点を責めはじめる。右の男は、彼女の胸の先端をつまみながら、へそをかりかりと引っかき、左の男は彼女のわきを舐めながらキスをした。
「ん……う……っ、く……っ」
ミナハはぴくっとからだを震わせながら、男たちの気持ち悪い責めを耐え忍んだ。そんなミナハに、男は言う。
「へへ……顔真っ赤にしながら必死に耐えちゃって、可愛いねえ。じゃあもっと恥ずかしいことしてやるよ」