「こっちも動画に撮っておこうねえ。ミナハちゃんの痴漢動画なんて、痴漢仲間からすれば垂涎の代物だからなあ。脚もおなかもおっぱいも丸出しのえっちな服着て電車乗ってくるくせに、なかなか痴漢させてくれない子って痴漢師たちの間で有名なんだよね」
左の男は前のシートのポケットにスマホを挟み、フロントカメラでミナハの様子を撮影しはじめた。自分の姿が画面に映し出されているのが、ミナハから見える。
(男ってほんと最低……)
こんな悪趣味な動画で喜ぶ男がいることに、ミナハは嫌悪感を募らせる。ミナハがスマホを睨みつけていると、男たちはまた彼女の露出した太ももを撫ではじめた。
(気持ち悪い……っ!)
ミナハは鳥肌が立つような思いをしながら、男たちの手つきを我慢する。ミナハの脚をほしいままにしながら、右の男がミナハに言った。
「あの時からずっとお前のこと狙ってたんだよなあ。まさかあの子と姉妹だったなんてな」
ミナハはようやく、最近の葉月の不安の正体に思い至る。
「葉月のことを付け回してたのはあんただったのね……」
「へへ……まあ、お前に仕返しするためだけどよぉ。痴漢を捕まえるような生意気女が、自分で捕まえた男に痴漢されて気持ちよくされるなんて、最高だよなあ」
男の言葉に、ミナハは呆れながら言った。
「痴漢されて気持ちよくなるわけないでしょ……」
それに、わざわざ自分に復讐するためだけに、葉月にストーカーまがいのことをして姉妹であることを確かめ、東京から遠く離れた場所までやってきて、同じバスに乗り合わせるように仕組むなんて……ミナハには、男の執着が全く理解できなかった。
「それは楽しみだな。今からたっぷり辱めてやるからよぉ」
男はミナハの太ももを撫でたまま、空いた方の手で彼女の胸を揉みはじめる。その感触を楽しむように、男はねっとりと彼女の右の乳房を揉み込んだ。
「へへ……なかなか生意気なおっぱいだな。押し返してくる感触がたまらないぞ」
「……っ」
ミナハは唇を噛み締める。男に好き勝手体を触られて、楽しまれているのに、何の抵抗もできない……。か弱い女の子にひどいことをする男たちを何人も捕まえてきたミナハにとっては、それがとてつもなく悔しかった。
(葉月のことがなかったら、こんな奴らすぐに捕まえてやるのに……っ!)
太ももを撫でていた左側の男の手が、徐々にミナハの体に近づいてくる。彼女のホットパンツと太ももの隙間から、男の手が忍び込んできた。
(……っ、服の中にまで……)
露出度の高い服装に慣れているミナハでも、痴漢にこんな風に触られるなんて──そして、気持ち悪い感触を我慢することしかできなくされてしまうなんて、想像もしていないことだった。
「きれいな脚だねえ。太もももすべすべだ。こんなスケベな服着て歩いてたら、みんな家帰ったあとミナハちゃんでシコシコしてるかもねえ」
中学時代からずっと水泳を続けてきたミナハのからだは、モデルのように引き締まっている。足は長く、太ももには適度なむっちり感もあって、男の理想を体現しているようだった。そして、その美しい肢体を隠そうともしないミナハは、時折男たちから欲望のこもった眼差しで見られていることも自覚していた。
(はぁ……男ってなんでそんなに下品なの……?)
ショートパンツに入っていた男の手が、彼女の内ももに触れようとする。痴漢の指が彼女のプライベートな場所に近づき、ミナハは強い嫌悪感を抱く。男の手を払いのけようと足を動かすと、男は彼女に囁いた。
「抵抗しちゃだめじゃないか。もう葉月ちゃんの動画のこと、忘れたのかい?」
「……っ」
ミナハは唇を噛み締めながら、怒りを込めて男を睨んだ。卑劣な痴漢を捕まえて警察につき出すくらい、ミナハにとっては簡単なことなのに──妹という弱みを握られた彼女には、手を払いのけることすらできない。
隙間から入ってきた左の男の手が、ミナハのショーツに触れる。そして右の男は、彼女のタンクトップの裾から手を忍び込ませてくる。ブラの下で男の手が彼女の胸を包み込み、ねっとりと揉みはじめた。
(……っ、おっぱいに直接触られるなんて……!)
ミナハは威嚇するように右の男を睨んだ。妹の葉月にふざけて触られた事はあっても、胸を直接男に触らせたことは一度もなかった。それをこんな卑劣な男に──しかも、過去に自分が捕まえた痴漢に許してしまうなんて、屈辱的だった。
ミナハがそんな態度をとっても、彼女が抵抗できないと知っている男には、まるで意味がない。男の指が彼女の胸の先端に触れ、くすぐるように動く。敏感な場所に触れられると、ミナハはわずかに呼吸を乱してしまう。男はその反応を見てか、彼女の胸を揉みながら、その先端を指で弄び続けた。
(調子に乗って……!)
ミナハは今までに痴漢にしてきたように、男たちの足を踏みつけたい衝動に駆られる。しかし、それも叶わないことだった。
「威勢がいいなあ。こんなに乳首勃たせてるのに」
「……っ、あんたたちの触り方が気持ち悪いからでしょ……」
「へへ……そうだよなあ。痴漢されて感じるはずないもんなあ」
ミナハが身を固くして胸の先端への刺激に耐えていると、左の男は片方の手でミナハのくびれを撫でた。そしてうっすらと浮き出た筋肉のスジをなぞるように、指で彼女のお腹を愛でる。
「葉月ちゃんと一緒で、よく引き締まったいいお腹だねえ」
左の男の指がお腹を撫でるくすぐったさと、右の男の指からの乳首への刺激を、ミナハは唇を噛んで我慢する。指が彼女の形の良いへそに触れると、突然そこをいじめるようにぐりぐりと押し込みはじめた。
「ひゃんっ!?」
彼女はびくっと体を震わせて、声を漏らしてしまう。
「可愛い声出ちゃったねえ。おへそが弱いのも葉月ちゃんと一緒だねえ」
「……っ、うるさい……っ」
男たちに反応を見せないようにしていたミナハだったが、頬を赤く染めてしまう。痴漢たちの前で、自分の口から女の子らしい声を上げてしまったことを、ミナハは恥ずかしく思った。しかもおへそなんて、普通の女の子が触られてもなんともないような場所で……。
男はミナハの反応ににんまりと笑いながら、執拗に彼女のへそをいじめ続けた。ミナハはからだを屈めてやめさせようとしたが、男たちはそれを許さない。右の男が彼女の胸を鷲掴みにすると、無理やり上体を起こさせる。ミナハはその痛みのせいでまともな抵抗もできず、男にいじられるがままになってしまう。
「ん……っ! ふ……ぁ……っ」
男はミナハのへその周りを指で撫で、ミナハがむずかゆさに我慢できなくなる瞬間に、爪を立ててカリカリとひっかく。ミナハは男の思い通りにからだをびくびくと反応させ、吐息を漏らしてしまう。
「おいおい、さっきまではあんなに澄ました顔してたのに、へそいじられただけでこのザマかよ」
右の男がミナハの乳首を弄びながら、そう言ってあざ笑う。
「……っ、ちがう……っ、あっ……!」
左の男が彼女のへそをほじくった。男の指が体の中に入って来ようとしているかのような感覚に、ミナハは言葉とは裏腹にからだを震わせる。右の男も、ミナハに性感を感じ始めていることを認めさせるように、彼女の胸への責めを激しくする。固くなった乳首をつまみ、すりつぶすようにこすると、彼女の喉の奥からはくぐもった声がすべり出そうになる。
「ん……っ、く……っ」
「感じてるなあ。痴漢じゃあ感じないんじゃなかったのか?」
右の男が、彼女の耳元でそう囁いた。ただ痴漢たちの淫猥な手付きに、体を反応させられているだけ──ミナハは男たちへの憎しみを心に刻み込む。
「か、感じてなんかない……、ひゃ……っ!」
ミナハが反論を口にすると、男は彼女の耳に舌を触れさせた。そして彼女の小さい耳たぶを蹂躙するように、舌をねじ込んでくる。憎い男に耳を舐められて、気持ち悪いだけのはずなのに、ミナハは体中にぞわぞわとした感覚を覚えた。男の舌が移動し、汚らしい唾液の音が耳を覆う。ミナハはそのたびにぴくっと体を反応させてしまう。
(いい加減にして……!)
男たちの気持ち悪い責めに、ミナハは我慢できなくなる。男たちを引き剥がすために腕を動かそうとしたが、男たちはそれを読んでいたかのように、太ももを撫でていた方の手でミナハの両腕を掴んだ。
右の男は嫌がるミナハにさらに嫌悪感を抱かせるように、首筋をねっとりと舐めた。彼女の白く美しい素肌に、男の唾液が塗られていく。そして抵抗しようとした罰を与えるように、彼女の首筋を噛んだ。
ミナハが痛みにびくっとからだを震わせると、右の男は彼女の肌の味を楽しむように舌を転がしながら、口を離した。左の男は彼女のへそから指を抜き、味わうようにその指を舐めて言った。
「いま抵抗しようとしたねえ。恥ずかしいお仕置きが必要みたいだね」