「じゃあまず服脱げよ。お前らもちゃんと見とけよ、こいつのみっともない姿」
あたしは三人の三年生の前に立たされていた。一年生たちも帰してもらえず、あたしは彼女たちの前で好き勝手されることになるみたいだった。
「……」
三年生たちはあたしにスマホのカメラを向けていた。あたしは彼女たちを睨みながら、練習着の白いシャツに手をかける。女子に見られることくらいなんともない──あたしはそう思い込んで、シャツを脱いだ。
上半身はスポーツブラだけの姿になる。次にショートパンツを脱いで、下着姿になった。更衣室で一緒に着替えることもあるとは言え、こんなにまじまじ見られる機会は少ない。徐々に恥ずかしさが募ってくる。
三年の女子が、あごをしゃくって続きを促す。あたしは先っぽが見えないように手で隠しながら、スポーツブラを取る。片手で脱ぐのは少し難しく、手間取ってしまう。ブラを床に落とすと、三年の女子は嗜虐的な表情を浮かべていた。
「手どけてよ。見えないでしょ?」
あたしは唇を噛み締めながら手をどけた。胸が女の子とカメラの前にさらけ出される。男子たちの視線を引き付けてしまうあたしの大きな胸──。
「やっぱり超でかいじゃん。星川とは大違いだな」
三年の女子のひとりがそう言って、ほかの女子たちが笑う。葉月は恥ずかしそうにうつむいていた。葉月はほかの一年生と比べても胸が小さいことを気にしている。それなのに笑い種にする彼女たちに腹が立つ。
「あんたたち、どこまでクズなの……」
あたしが罵りの言葉を言うと、彼女たちの笑顔がひきつった。
「へえ。これからたっぷりいじめられるのに、そんな口聞いていいんだ。泣きわめいても許してあげないから。謝るなら今のうちだよ」
「……っ」
そんなの脅しに決まってる──あたしは彼女たちに強い視線を向ける。あたしの反抗的な態度にいじめがいを感じたのか、彼女たちの笑みが深くなった。
「さっさとパンツも脱げよ」
あたしは秘所を隠しながら、ショーツに手をかける。更衣室で秘所を見られることなんてないから、女子相手でも羞恥心が大きくなる。ショーツを床に落とすと、三年の女子はあたしの羞恥を楽しむように言った。
「何回も言わせないでよ。手どけろ」
あたしは秘所に当てていた手をそっと下ろした。あのことを三年の女子たちに知られてしまうのは悔しいけど、一年生たちを守るためにそれくらいの辱めは我慢しなくちゃいけない。
三年生の女子はそれにすぐに気づいて、あたしを冷やかしてくる。
「パイパンじゃん! まだ生えてないの? 子供みたい」
「ち、ちが……っ!」
脅されて、クラスの男子に剃らされたのだ。でもそんなことを言ったら弱みを握られてしまうことになる。あたしはうつむいて何も言い返せずに黙った。
「お前らもちゃんと見ろよ。美沢の恥ずかしい子供おまんこ」
一年生たちにそう言う。あたしの裸から目を逸らしていた彼女たちは、そう言われてあたしの方をちらりと見た。三年生たちに従わないと何をされるかわからないから仕方ない。後輩に見られるのは余計に恥ずかしかった。
あたしの恥ずかしい秘密を知ったことで悦に入った彼女たちは、あたしをさらに辱めはじめる。スマホを持った女子があたしの近くに来て、あたしの裸をじっくりと撮影しはじめた。
「見てくださーい。チア部で一番人気の、美沢凪沙ちゃんの裸でーす。これが男子たちがいつもガン見してるおっぱいでーす。乳首も意外ときれいな色してまーす」
あたしは彼女の言葉を耳に入れないようにしながら、撮られる羞恥に耐えた。恥ずかしがったら彼女たちの思うつぼだ──そう分かっているのに、あたしは顔を真っ赤にしてしまう。
「それからー、パイパンおまんこでーす。小学生みたいですねー。ヤリマンかと思ったら、こっちもけっこうきれいです。もしかして、処女なんでしょうかー?」
そう言って、彼女はあたしの顔を映してくる。あたしは何も答えずに、顔を背けた。
「答えてくれないみたいなので、あとで確かめたいと思いまーす。それにしても涙目で耳まで真っ赤にして、すごく恥ずかしそうですねー。それじゃあ今から、生意気な凪沙ちゃんにお仕置きしたいと思いまーす」
「きゃっ!」
三年の女子の残りの二人が近づいてきて、あたしを突き飛ばす。よろめいて布団の上に倒れると、彼女たちに取り囲まれた。あたしがからだを隠そうとすると、腕を掴まれ、カメラの前に裸体を晒し続けることになる。
「腕縛っちゃおうよ。暴れられてもめんどいし」
女子の一人がそう言い、あたしの腕を頭の後ろで折り曲げて、ガムテープで固定した。抵抗しようとしたが、別の女子があたしのからだを抑えて簡単に拘束される。両腕を上げた無防備な姿勢を取らされ、からだを隠すこともできなくなる。
「あーあ、恥ずかしいところ隠せなくなっちゃったねえ」
女子たちはそう言い、あたしの無様な姿を見てくすくす笑う。彼女たちを睨みつけても、笑みを少しも崩さなかった。
「三年の男子に送っちゃおっかな」
スマホで撮影していた女子が言い、残りの二人もいいじゃん、と囃し立てる。
「ふざけないで……っ」
「いやなら謝ってよ。今まであたしたちに言ったこと」
「……っ」
「ほらー早くー」
女子がスマホを見せてくる。さっき撮ったあたしの顔つきの裸の動画のキャプチャが、LINEの送信画面に貼り付けられていて、あとワンタップで送信できてしまうところにまでされていた。
こんな女たちに謝るぐらいなら、知らない男子に裸を見られるほうがマシ──あたしはそう思い、彼女たちに言う。
「卑怯者……」
「へえ。まだそんなこと言っちゃうんだ。……あっ、手が滑っちゃった!」
わざとらしくそう言って、彼女はあたしに見えるように送信ボタンを押す。
「あ、もう既読ついたよ。かわいいじゃん、誰? だって。見られちゃったねー。チア部の2年の美沢凪沙っと……」
「あんたたち、ほんと最低……。こんなことして恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいのはあんたの方でしょ。これから男子のオナネタにされるかもねー」
唇を噛みしめる。絶対にこんな奴らのいじめに屈するわけにはいかない。
「じゃあそろそろ本番始めよっか。一年生たちにもっと恥ずかしいところ見てもらわないとね」