【凪沙&葉月・チア部性的いじめ #01】後輩をかばったら……

 ※夏合宿編の3作目です。
  1作目:凪沙・水着羞恥調教  2作目:凪沙・ガキ犯服従レイプ

 合宿三日目の朝。今日で合宿は終わりだ。合宿の間くらいクラスの男子たちの顔を見なくて済むと思っていたのに、それどころか二日連続で男たちに好き勝手され、あたしは心もからだもへとへとだった。早く寮の部屋に帰って、柚乃とゆっくりしたい。

 そんなことを考えながら旅館の食堂であたしが朝食を摂っていると、葉月が自分のお盆を持って横にやってきた。

「先輩、おはようございます!」

「おはよ、葉月」

 葉月は一年生の中でもあたしに懐いてくれている。あたしが挨拶を返すと、葉月は尋ねてくる。

「ボクもここで食べてもいいですか?」

 合宿は、夏からのチアの本番に向けて、先輩と後輩の仲を深めるためのものでもある。あたしがいいよ、と言うと、葉月は嬉しそうに笑った。

「ありがとうございますっ」

 葉月は素直ないい子で、顔だってかわいい。これで彼氏がいたことがないって言うんだから、今まで周りにいた男子たちは見る目がないんだなって思う。まあ、葉月がそういうのを断ってきたのかもしれないけど──。

 でも男子たちに人気があるのも、いいことばかりじゃない。えっちな目で見られることと隣合わせだからだ。葉月があたしみたいな目に遭わないのなら、その方がいいに決まっている。

「先輩? どうしたんですか?」

「へ?」

「なんか浮かない顔してますよ。心配事ですか?」

 葉月があたしを気遣うような表情で尋ねてくる。あたしは無理やり笑みを作って首を横に振った。

「ううん。なんでもない」

 あたしを信頼してくれている後輩に弱いところは見せられない。気をつけないと。

「星川ぁ」

「は、はいっ」

 別のテーブルから食事を終えたらしい三年生が三人やってきて、葉月に声をかける。あたしが苦手な三人だった。あたしは踊っているとき、意図せずに男子たちの注目を浴びてしまう。同じチア部として、そのことが癇に障るようで、よくあたしを無視したり冷淡な態度を取ったりしてきていた。

「あとで三年の部屋に来いよ。ちょっと話あるから」

 彼女たちは葉月にそう言った。葉月ははいっ、と返事をする。みんな、ニヤニヤと笑みを浮かべていた。まるであたしを犯す前の男子たちのような笑みだった。そしてあたしの方を一瞥して、部屋に戻っていった。

 嫌な予感がする。去年の合宿でも、一年生が三年生の部屋に呼び出されて、そこでいじめがあったということを同じ学年の子から聞いていた。チア部の悪い伝統みたいなものだ。葉月が同じような目に遭わないとは限らない。

「話ってなんだろ」

 葉月はそんなことを知らない。あたしは警戒心のなさそうな彼女が余計に心配になる。でも、去年のことを言って心配させるのもよくないし──。

 あたしは迷った挙げ句、葉月に言った。

「変なことされそうになったらすぐ連絡して。LINEでも電話でもいいから。絶対ね」

 葉月は笑った。

「大丈夫ですよー。だいたい変なことってなんですか? 女子どうしなのに」

 ***

 食事のあとは学年別の練習時間で、何人かの一年生が三年生に呼びされているみたいだった。葉月からの連絡は来ていないけど、やっぱり気になる──。あたしは練習の休憩時間に三年生の部屋に向かった。

 旅館の奥にある大部屋に向かうと、障子はぴったりと締め切られている。中から三年生の女子たちの笑い声が聞こえた。あたしは足音を殺して部屋に近づき、音を立てないように障子を薄く開けた。

 中には例の三年生三人と、葉月たち一年生が三人いた。一年生の子たちはみんな裸で三年生の前に立たされていて、三年生は彼女たちの写真を撮っていた。彼女たちの持ち物はすべて隠されていて、助けが呼べないようにされているみたいだった。

「星川、お前おっぱいちっちゃすぎだろ!」

 三年生の一人がそう言う。葉月は恥ずかしそうに顔を伏せるが、隠すなと命令されているのか、からだを隠すことはできないみたいだった。

 やっぱり──っ!

 気がつくと、あたしは部屋に踏み込んで上級生たちに叫んでいた。

「あんたたち、何してんの!」

 三年生たちはあたしの存在に全く気づいていなかったらしく、驚いた表情を見せる。一年生の子たちは少しほっとしているようだった。

「何勝手に入ってきてんのよ。二年は練習時間でしょ」

 三年生の一人があたしに言う。あたしは無視して言い募った。

「あんたたち、この子たちをいじめてたでしょ! 下級生をいじめるなんて、最低っ」

 あたしがそう言うと、三年の女子たちは不機嫌な表情になる。嫌っているあたしに諌められるのが気に入らなかったらしい。しかし、三年生の一人が途端に笑みを浮かべる。

「ふーん。じゃあ美沢が身代わりになってあげたら?」

「……なんであたしがそんなことしないといけないの」

 あたしが睨みながら言うと、スマホの画面を見せてくる。

「この子たちの写真、もういっぱい撮っちゃったからなあ。一年の男子が見たら大喜びするかもなあ」

 一年生の子たちの表情がこわばる。男子と同じような卑劣なやり口で脅迫してくる三年生に腹立たしい気持ちになる。あたしが身代わりになると言えば、日頃の鬱憤を晴らすためにひどいことをするだろう。

 でも、この子たちの写真をばら撒かせるわけにはいかない。あたしは奥歯を噛む。

「……分かったわよ。あんたたち、ほんとに最低……っ」

「せ、先輩……」

 葉月が何か言おうとしたが、あたしは押し留めた。

「いいから。あんたたちは服着なさい」